馬居寺の創建は仏教文化が花開いた飛鳥時代、聖徳太子が開祖と伝えられています。太子が愛馬甲斐の黒駒にまたがり、摂政の役目を帯びて諸国を巡った折、若狭の国和田浜で休息をとりました。ところが愛馬が見えなくなり、捜しておられると、突然、南の山から馬のいななきが聞こえ、光明が輝きました。
そこで太子は「此処ぞ観音の霊地である」と思し召し、その光明輝く山を本光山と称し、党塔を建立、のちに仏師が栴檀(せんだん)の香木で馬頭観世音菩薩坐像を刻み、安置しました。
馬頭観音様が居られる寺というところから「馬居寺(まごじ)」、それがこの寺の名の由来です。
庫裡(くり)には、一刀彫りの弁財天、鎌倉時代(町指定文化財)の秀作や、直径約六十二センチの青銅の掛仏もあり、また玄関前に扇石があって、観音堂右横の約三百体の石仏(鎌倉期以降)と共に、当寺の長い歴史を物語っています。
当寺の秘仏観音様は三面八臂頭上に馬頭をいただき赤褐色、忿怒のお姿の馬頭観世音菩薩です。真言密教根本教典の大日教疏によると、衆生摂化のために教令輪身の姿にやつして大慈悲を行なう。馬が水草をむさぼり喰うように一切衆生の煩悩と罪業を喰い尽すと説かれています。すなわち六道摂化の六観音のうち、馬頭観音は畜生道の摂化をつかさどり、農耕養蚕を守り、家内安全・息災延命・交通安全・学業成就・身体健全・財宝あふれる御利益があると伝えられています。
馬頭観世音菩薩坐像(平安末期)
住所:〒919-2207 福井県大飯郡高浜町馬居寺3-1
電話 / FAX:0770-72-1264
交通:JR小浜線若狭和田駅から車で約5分、徒歩約20分/高浜駅からタクシー15分
観光:高浜海岸、大島半島、小浜市若狭湾国定公園など
専用駐車場:大型車2台 普通車10台
宿泊設備:高浜町内旅館