卯辰山入口にある当寺は、本尊観音菩薩をまつり、金沢の発詳にちなむ歴史的由緒をもっています。すなわち、聖武天皇の天平年間(七四〇年ごろ)加賀国野々市の里に藤五郎という善人が居り、芋を掘って暮らしていたので、芋掘藤五郎と呼ばれていました。芋と共に砂金を見つけ、金洗沢で洗ったので「金沢」の地名がおこり、藤五郎は長者になりました。藤五郎夫婦は観音の信仰あつく、行基菩薩に願い、大和の長谷観音の同木で十一面観音を彫刻していただき、当寺を創建したところ、益々家運が栄えました。一族は七村となりその氏神として、大和、鎌倉と並び、加賀の長谷観音とうたわれました。
その後、火災で焼失したのを、慶長六年(一六〇一)前田利長公により卯辰山に移築、毎年四月一・二日には神事能が催されました。境内には数学者関孝和や役者中村芝加十郎らの墓があります。
芋掘藤五郎の伝説は金沢の起源にちなむと共に、大昔の当地の様子を伝え、また一向一揆にほろぼされた富樫家をしのぶ言い伝えとも考えられます。
富樫家は今の金沢郊外・野々市町あたりを中心に加賀国守として六百年にわたり栄えた名門で、特に源義経と弁慶一行を安宅の関で見破りながら逃した富樫泰家の話は有名で、二四代政親のとき高尾城にて一揆の勢力に敗れて一門の歴史を閉じました。
なお、当寺には仏像・仏画も多数伝わり、中でも藤五郎の寄進と伝えられる十一面観音は霊像として前田家にも厚く崇められたものです。
十一面観世音菩薩
住所:〒920-0838 石川県金沢市東山1-38-1
電話 / FAX:076-252-6523
URL:https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp
交通:JR北陸本線金沢駅からJRバス橋場町下車徒歩15分・北陸鉄道バス卯辰山行き天神橋下車徒歩5分/金沢駅からタクシー15分
観光:兼六園、浅野川、東茶屋街、卯辰山など
専用駐車場:普通車5台
近隣駐車可能収容台数:後方道路 大型車2台
宿泊設備:金沢市内旅館